アニサキスに要注意!|南條内科おなかクリニック|富山市の内科・消化器内科・内視鏡内科

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医療コラム

アニサキスに要注意!|南條内科おなかクリニック|富山市の内科・消化器内科・内視鏡内科

アニサキスに要注意!

 はじめに:初夏の風物詩に潜む罠

南條内科おなかクリニックの院長です。

衣替えの季節を迎え、初夏の爽やかな風が心地よい2026年6月。皆さまいかがお過ごしでしょうか。これからの季節、カツオやアジ、サバ、イカなど、新鮮で美味しい魚介類が食卓を彩る機会が一段と増えてきます。

しかし、この時期に急増するのが、生魚を食べた後に激しい腹痛に襲われる「胃アニサキス症」です。

実は最近、当院の胃内視鏡(胃カメラ)検査において、立て続けに2例の胃アニサキス症の患者様を診断・治療いたしました。お二方とも、前夜や数日前に新鮮なお刺身を召し上がっており、夜間から早朝にかけて耐えがたい激痛に襲われて当院を受診されました。

アニサキスは正しく知って、正しく予防すれば決して怖いものではありません。今回は、最近の症例を交えながら、胃アニサキス症の症状、原因、当院での治療、そして日常生活でできる予防法について詳しく解説し、皆さまに注意を呼びかけたいと思います。

アニサキスとは?なぜ胃で暴れるのか

アニサキスは、魚介類に寄生する線虫(寄生虫)の一種です。幼虫の体長は2〜3cmほど、幅は0.5〜1mm程度で、肉眼でも白い糸のように見ることができます。

本来、アニサキスはクジラやイルカなどの海生哺乳類の体内で成虫になります。その卵が排泄物とともに海に立ち、オキアミなどの甲殻類に食べられ、それを魚やイカが食べることで、私たちの身近な魚介類の体内に幼虫が寄生します。

アニサキスが寄生している魚介類を、人間が生(刺身や加熱不十分な状態)で食べると、アニサキスは人間の胃の中へ侵入します。しかし、人間はアニサキスにとって本来の宿主ではないため、人間の体内では成虫になれず、生き残ることができません。

そのため、迷い込んだアニサキスは胃の壁(粘膜)に潜り込もうとして激しく暴れます。


胃アニサキス症の主な症状と特徴

アニサキスが胃に入ると、多くの場合は食後数時間から十数時間以内(およそ2〜8時間後)に、以下のような強い症状が現れます。

みぞおちの激しい痛み(上腹部痛):定期的に痛みの波(疝痛)が襲ってくるのが特徴です。

悪心・嘔吐:強い痛みとともに、吐き気を催したり、実際に吐いてしまったりします。

おなかの張り(腹部膨満感):お腹がパンパンに張るような不快感があります。

一方で、ごく稀にアニサキスが胃を通り抜けて腸まで達してしまう「腸アニサキス症」になることもあります。この場合は食後数日経ってから、下腹部の激痛や腸閉塞に似た症状を引き起こすため、さらに注意が必要です。

「生の魚を食べてからお腹が痛い」という明確なエピソードがあれば診断はスムーズですが、本人が気づかないうちに(外食の付け合わせなどで)生魚を口にしているケースもあるため、原因不明の激しい胃痛の際は必ず直近の食事内容を思い出すことが大切です。


当院での診断と治療:胃カメラで一発解決

胃アニサキス症が疑われる場合、最も確実で迅速な診断・治療法は「胃内視鏡検査(胃カメラ)」です。

当院では、経験豊富な内視鏡専門医が、患者様の苦痛を最小限に抑えた丁寧な検査を行います。検査によって胃の粘膜に刺さっているアニサキスを直接確認できれば、その場で内視鏡の先端から「生検鉗子(けんし)」という小さなピンセットのような器具を出し、アニサキスを傷つけないように優しく、かつ確実に掴んで引き抜きます。

治療後の経過

アニサキスを取り除けば、胃壁のアレルギー反応は急速に収まるため、ほとんどの場合、その場で痛みが劇的に軽快、または消失します。

傷ついた胃粘膜を保護するため、数日分のお薬(胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬)を処方することもありますが、基本的にはその日のうちに通常の生活(食事は消化に良いものから)に戻ることができます。

逆に、アニサキスを摘出しない限り、アニサキスが体内で死滅するまでの数日間(通常は4〜5日、長いと1週間程度)、激しい痛みに耐え続けなければならなくなります。我慢せず、早めに受診されることを強くお勧めします。

毎日の食卓でできる!アニサキス完全予防法

美味しい生魚を安心して楽しむためには、アニサキスの特性を知り、適切な予防対策をとることが不可欠です。アニサキスは「加熱」「冷凍」に非常に弱いため、以下のポイントを徹底しましょう。

1. 中心部までしっかり加熱する

アニサキスは熱に弱いです。

  • 70℃以上であれば、一瞬で死滅します。

  • 60℃であっても、1分以上加熱すれば死滅します。

    焼き魚や煮魚、フライにすれば、アニサキスの心配は一切ありません。

2. しっかり冷凍する

生で食べたい場合は、一度完全に冷凍されたものを選ぶか、自宅で冷凍処理を行います。

  • マイナス20℃以下で24時間以上冷凍すると死滅します。

    一般の家庭用冷蔵庫の冷凍室はマイナス18℃前後であることが多いため、家庭で冷凍する場合は48時間(2日間)以上冷凍するとより安全です。市販の「解凍」と書かれた刺身用パックは、この冷凍処理がなされているため安全性が高いと言えます。

3. 新鮮なうちに速やかに内臓を取り除く

アニサキスの幼虫は、魚が生きている間は主に内臓の表面に寄生しています。しかし、魚が死んで鮮度が落ちてくると、内臓から筋肉(私たちが刺身として食べる身の部分)へと移動を始めます。

丸ごと一匹魚を購入した際は、購入後すぐに内臓を綺麗に取り除き、お腹の中をよく水洗いしてください。

4. 目視で確認し、よく噛んで食べる

アニサキスは前述の通り、肉眼で見える大きさです。調理する際や食べる際、明るい場所でよく確認しましょう。また、よく噛むことでアニサキスの体を傷つければ死滅させることができますが、アニサキスは非常に生命力が強く、少し噛んだ程度では死なないこともあるため、目視での確認が第一です。

【注意!効果のない間違った対策】
よく「ワサビをたっぷりつける」「醤油に浸す」「お酢でしめる(しめ鯖など)」「よく冷やす」といった対策が有効と誤解されていますが、これらではアニサキスは絶対に死にません。 アニサキスは高濃度の塩水や酢の中でも数日間生き残るほどタフです。しめ鯖であっても、冷凍歴のない生のサバを使ったものはリスクがあります。

まとめ:お腹の激痛は我慢せず当院へ

6月に入り、夏に向けて美味しい旬の魚がたくさん出回ります。「アニサキスが怖いから生魚は一切食べない」とする必要はありません。信頼できるお店で処理されたものを選んだり、適切な冷凍・加熱処理を行うことで、リスクは限りなくゼロに抑えることができます。

万が一、お刺身や生の魚介類を食べた後に、経験したことのないようなみぞおちの激痛や吐き気に襲われた場合は、決して我慢をせず、すぐに当院までご相談ください。当院では速やかに胃カメラ検査を行い、原因を特定して苦痛を取り除く体制を整えています。

皆さまが安心で健康的な食生活を送れるよう、スタッフ一同サポートしてまいります。

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