便秘症|南條内科おなかクリニック|富山市の内科・消化器内科・内視鏡内科

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便秘症

便秘症|南條内科おなかクリニック|富山市の内科・消化器内科・内視鏡内科

便秘症とは

便秘症とは

次のうち、どれが便秘症でしょうか。

  • A)1週間に1回、下剤を使って排便している
  • B)1週間に2回、下剤を使用しないで排便がある
  • C)1週間に4回、固い便が出る
  • D)毎日排便があるが、強くいきむ必要がある
  • E)毎日排便があり、強くいきまずに普通便(バナナうんち)が出る

実は、E以外はすべて便秘症です。まず、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています(慢性便秘症診療ガイドライン2017、日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会編)。そして、便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態」とされていて、下剤などを使わない排便が週に3回未満であったり、強くいきむ必要がある、ウサギの糞のようなコロコロの便や固い便である、排便後にも便が残っている感じがする、お尻のあたりで詰まった感じや排便しにくい感じがある、摘便や会陰部の圧迫などが必要である、が当てはまったりすれば、便秘症の可能性があります。

排便のメカニズム

排便のメカニズム

  • 正常な状態では、便意を感じていないときには、便はS状結腸より口側(上流)にあって、お尻に近い直腸にはありません。
  • 朝食を食べた後などに大ぜん動とよばれる強いぜん動運動(便などの内容物を肛門の方に動かすための腸の動き)が起こって、S状結腸にあった便が直腸に移動します。直腸に移動した便は直腸の壁を伸ばして、その刺激が脳に伝わって便意(ウンチがしたい感じ)を感じます。
  • 直腸の壁が伸びると、肛門の周りの筋肉(内肛門括約筋)が緩むなどして便が出ます。

便秘の原因

1.食事量(便の量)が少ない

ダイエットなどで食事量が極端に減ると、便が直腸に送られても直腸の壁を十分に伸ばせず、便意を感じません。直腸に残った便は固まって出にくくなります。また、朝食を食べないなどの不規則な食生活では大ぜん動が起きなくなります。

2.腸の動きが悪い

プロゲステロンなどの女性ホルモンは腸の動きを悪くするため、50歳以下では男性よりも女性の方が便秘で悩むことが多いです。高齢になると男女ともに腸の動きが悪くなり男女差は小さくなります。糖尿病では自律神経障害がおきて腸の動きが悪くなります。また、咳止めなどの抗コリン作用のある薬を飲むと腸の動きが悪くなります。

3.直腸・肛門の周りの筋肉がうまく働かない

腹筋が弱くなって強くいきむことができないことや直腸・肛門の周りの筋肉がうまく協調しないことで便がうまく排出されません。

4.直腸の壁が伸ばされても便意を感じない

排便を我慢する習慣やその他の理由で直腸に便がある状態が長く続くと、直腸の壁が伸ばされてもその刺激を感じにくくなり、直腸で便が固まってしまいます。便秘患者の30%が当てはまるとの報告もあります。

5.腸に形態的な異常がある

大腸がんなどで便の通り道が狭くなっていたり、逆に腸が広がって(巨大結腸など)貯まりやすかったり、直腸・肛門を支える筋肉(骨盤底筋群)が弱くなって直腸が下に飛び出してしまったり(直腸脱)するなどして便がうまく排出されません。

便秘の種類と症状

便秘の種類と症状

1.大腸通過時間遅延型

排便回数が少ない、または便が硬い

2.大腸通過時間正常型

排便回数は週に3回以上あるが、便が残っている感じや出しにくい感じがある

3.便排出障害型

下剤で軟便や水様便になっても、強くいきまないと便が出ない

便秘の治療法

1.生活習慣の改善

適度な運動やおなかのマッサージで便秘が改善することが報告されています。食物繊維の推奨摂取量は1日20g以上ですが、現代日本では15gと少ないです。食物繊維は便のかさを増し排便を簡単にしますが、摂りすぎはむしろ便秘を悪化させることもあります。特に、おなかの手術の後で腸の癒着(ゆちゃく、ひっつくこと)が原因で便秘の場合、不溶性食物繊維を多くとることはイレウス(腸が詰まること)の原因となるので注意が必要です。1日のうちで起きてすぐと食後が、腸の動きが一番強くなるタイミングです。このタイミングを逃すと直腸に便が残り、直腸の壁が伸ばされても便意を感じなくなり、便秘の原因になります。便意を感じたら、我慢せずにすぐにトイレに行きましょう。

2.薬物療法

便秘薬には、便に水分を多く含ませる薬(浸透圧性下剤)、腸の動きを促す薬(刺激性下剤)、腸の水分分泌を促す薬(上皮機能変容薬)、胆汁酸の吸収を抑えて便の水分を増やし腸の動きも促す薬(胆汁酸トランスポーター阻害薬)、漢方薬などがあり、便秘のタイプ、年齢、持病、内服薬などにより選択する必要があります。

3.刺激性下剤の連用に注意!

副作用の無い薬はありませんし、使用する薬によって注意点も異なるのですが、これまで日本で多く使われ、薬局でも気軽に買える刺激性下剤の注意点を述べます。刺激性下剤を長く使っていると腸を動かす神経がうまく働かなくなってしまいます。「下剤はだんだん効かなくなる」って聞いたことありませんか?ここでいう「下剤」は刺激性下剤のことで、センナ、ダイオウ、ピコスルファートナトリウム、ビサコジルなどが含まれます。ほとんどの漢方薬の下剤にはダイオウ(大黄)が含まれていますし、センナ茶やアロエも刺激性下剤です。皆様の使っている下剤の成分を確認してみましょう。刺激性下剤が悪いわけではありませんが、できるだけ連用は避けるべきです。便秘で刺激性下剤を連用すれば腸の動きが悪くなって、さらにひどい便秘になり、より多くの刺激性下剤が必要になります。この悪循環を断ち切るためには、まずは運動・食事・排便習慣の改善、次に刺激性下剤以外のお薬をうまく使うことが大切です。もし市販の刺激性下剤に頼った排便をしているのなら、早めにご相談されることをお勧めします※。

※医療機関で刺激性下剤を処方されている場合には、適切な理由があって処方されているものと思われます。ご自身の判断で内服を中止せず、主治医にお問い合わせください。