新型コロナワクチン 接種すべき!?
- 2025年9月22日
- その他の病気
2025年秋・冬の新型コロナワクチン
LP.8.1株対応ワクチンの重要性と副反応について
2025年の秋・冬シーズンに向けて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防接種に関する重要な情報が公開されました#。今年は、新たな変異株に対応したワクチンが供給され、高齢者などを対象に定期接種が始まります。この記事では、専門機関の見解をもとに、最新ワクチンの重要性、効果、そして気になる副反応について詳しく解説します。
# 「2025 年度の新型コロナワクチン定期接種に関する⾒解」, 2025年9月, ⼀般社団法⼈⽇本感染症学会、⼀般社団法⼈⽇本呼吸器学会、⽇本ワクチン学会
1. なぜ今もワクチン接種が必要なのか?
新型コロナウイルスは、2024年と2025年も冬と夏に流行を繰り返しており、特に高齢者の重症化・死亡リスクは依然として高い状態が続いています。
厚生労働省の統計によると、2024年のCOVID-19による死亡者数は35,865人で、インフルエンザによる死亡者数(2,855人)を大きく上回っています。さらに、2023年と2024年のCOVID-19による死亡者の約97%が65歳以上の高齢者でした。
過去の研究でも、インフルエンザと比較して、COVID-19に感染した高齢者の死亡リスクが高いことが報告されています。また、COVID-19は心血管疾患や認知機能低下のリスクを高める可能性もあり、ワクチン接種はこれらのリスクを減らす効果も期待されています。
2. 2025年秋冬の定期接種と最新ワクチン
2024年4月から、COVID-19ワクチンは65歳以上の方などを対象とした定期接種(B類疾病)に位置付けられました。2025年度は、世界保健機関(WHO)の推奨に基づき、オミクロン株のJN.1系統LP.8.1株に対応した新しいワクチンが供給されます。これらのワクチンは、現在流行している変異株に対して、これまでのワクチンより高い免疫応答が期待されています。
ワクチンは、ファイザー、モデルナ、武田薬品工業、第一三共、Meiji Seika ファルマなど、複数の製薬会社から供給されます。当院ではファイザー製とモデルナ製のワクチンを提供予定です。
【各ワクチンの種類と特徴】
-
ファイザー :mRNAワクチンで、LP.8.1に対応しています。
-
モデルナ :mRNAワクチンで、LP.8.1に対応しています。
-
武田薬品工業 :組換えタンパク質ワクチンで、LP.8.1に対応しています。
-
第一三共 :mRNAワクチンで、XECに対応しています。
-
Meiji Seika ファルマ :sa-mRNA(自己増幅型mRNA)ワクチンで、XECに対応しています。
3. 新型コロナワクチンの有効性
2024年秋に使用されたJN.1対応ワクチンは、その有効性が複数の研究で示されています。
-
国内研究:長崎大学が行った研究では、65歳以上におけるJN.1対応ワクチンの発症予防効果は**52.5%でした
15 。また、60歳以上の入院予防効果は63.2%と報告されており、重症化予防効果も確認されています。 -
海外研究:デンマークで行われた研究では、ファイザーとモデルナのJN.1対応ワクチンが高齢者の入院や死亡予防に高い効果を示しました。
4. ワクチン効果に関する比較
2025年秋冬に供給されるJN.1系統LP.8.1株対応の新型コロナワクチンについて、ファイザー製とモデルナ製の有効性を比較した具体的な臨床データは限られていますが、これまでの知見からいくつかの点が推測できます。
基本的な効果は同等と推測される
ファイザー製とモデルナ製は、どちらもmRNAワクチンであり、LP.8.1株のスパイクタンパク質を標的としています。非臨床試験では、LP.8.1変異株対応ワクチンは、従来のJN.1対応ワクチンと比較して、LP.8.1系統や現在流行している変異株に対してより高い中和抗体を誘導することが示されています。このことから、両ワクチンとも高い予防効果が期待されます。
重症化・死亡予防効果
2024年の秋冬に接種されたJN.1対応ワクチンについて、デンマークで行われた65歳以上を対象とした全国コホート研究では、接種後4か月までのCOVID-19による入院予防効果と死亡予防効果が報告されています。
- ファイザー製(JN.1対応): 入院予防効果70.2%、死亡予防効果76.2%。
- モデルナ製 (JN.1対応): 入院予防効果84.9%、死亡予防効果95.8%。
ただし、これらの研究では接種者の年齢分布などが異なるため、単純に両ワクチンの効果を比較することはできません。
まとめ
LP.8.1株対応ワクチンは、ファイザー製、モデルナ製ともに、現在流行している変異株に対する高い予防効果が期待されます。過去のデータでは、重症化・死亡予防効果についてモデルナ製の方が高い数値を示した研究もありますが、両ワクチンの効果を単純に比較することはできないとされています。
接種を検討する際は、効果だけでなく、発熱などの副反応の傾向なども考慮することが重要です。いずれのワクチンも、接種を受けること自体が感染や重症化を防ぐ重要な手段であると考えられます。特に高齢者や基礎疾患のある方は、定期的な追加接種が推奨されています。
5. 気になる副反応について
新型コロナワクチンの接種後には、発熱や倦怠感などの副反応が一定の割合で現れますが、その頻度は以前のワクチンよりも減少している傾向にあります。
-
発熱の頻度
-
2023年度のXBB.1.5対応ワクチン接種後:
-
ファイザー:17.4%
-
モデルナ :39.1%
-
-
過去のワクチン接種と比較すると、発熱の頻度は減少しています
21 。
-
モデルナ製のワクチンは、ファイザー製よりも発熱の頻度がやや高い傾向にありますが、どちらも重篤な副反応は非常に稀です。
【安全性に関する研究結果】
-
デンマークの研究では、JN.1系統対応ワクチンを接種した人と接種していない人を比較した結果、アナフィラキシーや心筋炎などの重篤な有害事象の頻度が有意に上昇した事象はなかったと報告されています。
-
複数の海外研究では、新型コロナワクチン接種後の死亡との関連性はないことが示されています。日本国内の研究でも、ワクチン接種後の死亡リスクは増加していないことが明らかになっています。
6. 接種を迷っている方へ
新型コロナウイルスは今後も流行が続くと予想されており、季節性インフルエンザと同様に、毎年流行株に対応した新しいワクチンの接種が重要です。定期接種の対象となる方は、かかりつけ医など信頼できる医療従事者と相談し、ワクチンによる「利益」と「リスク」を正しく比較して接種を検討することが推奨されています。
今冬の流行に備え、定期接種を活用してワクチンを接種することをご検討ください。