【胃がん予防の新常識】ピロリ菌除菌は「1年でも早く」が鉄則。最新研究で判明した年齢とリスクの関係
- 2026年2月15日
- 消化器の病気
「ピロリ菌がいるかもしれないけれど、特に症状もないし後回しでいいか……」
もしあなたがそう考えているなら、非常にもったいないことをしているかもしれません。
最新の研究では、ピロリ菌を除菌する「年齢」が、その後の胃がん発症率に劇的な差をもたらすことが明らかになりました。今回は、180万人以上のデータに基づく驚きの事実と、今すぐ受けるべき検査の方法について詳しく解説します。
1. 衝撃のデータ:除菌は「45歳未満」が最も効果的
2023年に発表された大規模な追跡調査(Cancers 2023, 15, 1604)によると、ピロリ菌を除菌した年齢が若いほど、胃がんになるリスクを低く抑えられることが分かりました。
研究では、75歳以上で除菌したグループと比較して、以下の結果が出ています。
| 除菌時の年齢 | 胃がん発症リスクの減少率 |
| 45歳未満 | 約67%減少 |
| 45〜49歳 | 約49〜62%減少 |
| 50〜54歳 | 約43〜44%減少 |
このデータが示しているのは、「いつか除菌すればいい」ではなく「1年でも早く除菌したほうが得」という冷酷なまでの事実です。胃の粘膜がピロリ菌によってダメージ(萎縮)を受けきる前に菌を退治することが、最大の防御策となります。


2. 「家族に胃がんがいる人」こそ、急ぐべき理由
「うちは家系的に胃が弱いから」と諦めていませんか?
同研究では、家族に胃がん患者がいる場合、除菌が遅れるほどリスクが顕著に高まることも示されました。
家族歴がある方は、もともと胃がんのリスクが高い傾向にありますが、若いうちに除菌を済ませることで、そのリスクを大幅に相殺できる可能性があります。自分の代で「胃がんの連鎖」を断ち切るためにも、早期発見・早期検査が不可欠です。
3. ピロリ菌はどうやって調べる? 2つの主なルート
ピロリ菌の検査には、大きく分けて「保険診療」と「健診(全額自己負担)」の2つのパターンがあります。
① 保険診療:胃カメラとセットでしっかり確認
日本でピロリ菌検査を保険適用(3割負担など)で受けるには、ルールがあります。
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手順:まず胃カメラ(内視鏡)検査を行い、医師が「慢性胃炎」などの所見を認めた場合に、ピロリ菌検査が保険適用となります。
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メリット:胃カメラで「今、すでに胃がんになっていないか」を直接確認できるため、最も確実で安全なルートです。
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こんな人に:胃の痛みやもたれがある方、40代以上で一度も胃カメラを受けたことがない方。
② 健診・検診:血液検査などで手軽にチェック
職場や自治体の健康診断、人間ドックのオプションとして受けるパターンです。
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内容:主に「ピロリ菌抗体検査(血液検査)」が行われます。採血だけで済むため、身体への負担が非常に少ないのが特徴です。最近では、胃がんのリスクを判定する「ABC検診」の一部として組み込まれることも多いです。
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メリット:忙しい方でも、定期健診のついでに手軽に感染の有無をスクリーニングできます。
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注意点:もし抗体検査で「陽性」と出た場合は、その後に胃カメラを受けて胃の状態を確認することが推奨されます。
4. 「後悔」を「安心」に変えるために
ピロリ菌は、一度除菌に成功すれば、その後に再感染することは稀です。つまり、人生の早い段階で一度だけしっかり向き合えば、一生モノの安心が手に入るということです。
「まだ若いから」「健康診断で引っかかっていないから」と放置するのは、将来の自分に大きなリスクを先送りしているのと同じかもしれません。
「あの時検査しておけばよかった」
そう後悔する前に、まずは次の健康診断で「ピロリ菌検査」をオプション追加するか、当院やお近くのクリニックに相談してみませんか?
あなたにできる次のステップ
まずは、お手元の過去の健康診断の結果を見返してみてください。もしピロリ菌の項目がなければ、次回の健診で検査を追加するか、一度お近くの消化器内科を受診して「ピロリ菌が心配なので検査したい」と伝えてみるのはいかがでしょうか。
ご自身の胃の状態を知ることが、健康な未来への第一歩です。
参照元:
Jung, Y.S., et al. (2023). Association between Age at Helicobacter pylori Eradication and the Risk of Gastric Cancer Stratified by Family History of Gastric Cancer. Cancers, 15(5), 1604.


