🌊 冬季の警戒警報!感染性胃腸炎の波が富山県にも到来 🦠
- 2025年12月9日
- 消化器の病気
🌊 冬季の警戒警報!感染性胃腸炎の波が富山県にも到来 🦠
🚨 12月、忍び寄る感染性胃腸炎の波に要注意!
本格的な冬を前に、富山県内では例年、冬季に大流行する「感染性胃腸炎」の患者報告数が増加し始めています。
富山県から発表された最新の感染症発生動向速報(2025年第46週:11月10日〜11月16日分)によると、感染性胃腸炎は定点報告対象疾患の中で第2位に位置しており、今後、さらなる感染拡大が懸念されます。
I. 📈 富山県内の最新状況:流行の立ち上がり
1. 患者報告数が増加傾向
2025年第46週(11月10日~11月16日)における富山県内定点医療機関からの感染性胃腸炎の報告数は、3.93人/定点となりました。
前週の報告数(3.38人/定点)よりも増加しており 、例年通り、冬季の流行シーズンが始まったことを示しています。グラフで見ても、2025年の報告数(赤い実線)は増加傾向にあり、今後の感染拡大に厳重な注意が必要です。
2. 原因の多くは「ノロウイルス」
感染性胃腸炎の原因は、ノロウイルスやサポウイルスといったウイルスによるものが大半を占めます。
特にノロウイルスは、小児を中心に、汚染された糞便や吐物から人の手を介した接触感染や、飛沫・塵埃感染によって急速に広がります。
II. 🔬 知っておくべきノロウイルスの特性と症状
1. 感染経路と潜伏期間
ノロウイルスは、非常に多くの経路で感染が広がるため、予防が難しいウイルスです。
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経口感染:
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ノロウイルスに汚染された食品(特に二枚貝)の生食や加熱不十分な食品の摂取。
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感染した人の糞便や吐物に触れた手指を介しての感染。
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接触感染:
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- 感染者の吐物や糞便に直接触れることによる感染。
- 感染者の吐物や糞便に直接触れることによる感染。
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飛沫・塵埃感染:
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感染者の吐物を介した飛沫感染や、乾燥した吐物や糞便から舞い上がったウイルスを吸い込むことによる感染。
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感染から24~48時間の潜伏期を経て、症状が現れます。
2. 主な症状と注意点
主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛などです。ときに発熱や悪寒、倦怠感を伴うこともあります。
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重症化リスク: 乳幼児や高齢者、免疫力の低下した人は重症化することがあり、特に注意が必要です。
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回復までの期間: 通常は1〜2日で症状が徐々に和らぎます。
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ウイルスの排出: ノロウイルスは症状が消失した後も、数週間ほど糞便から排出され続けます 。この期間も感染源となり得るため、回復後も手洗いの徹底が欠かせません。
3. 治療法
ノロウイルスに効果のある抗ウイルス薬やワクチンは現在ありません 。
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治療は、脱水症状を防ぐための水分補給などの対症療法が中心となります。
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下痢止めの薬は、ウイルスの排出を遅らせ、症状が長引く場合があるため、使用には注意が必要です。必ず医師の指示に従ってください。
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4. ノロウイルスの検査を受けられる?
一般の診療所や病院で受けることのできるノロウイルス検査はノロウイルス抗原検査といって、便の中に含まれるノロウイルスのたんぱく質の一部を検出するものです。検査キットによる簡易検査で、15~30分程度で陽性/陰性がわかります。
ただし、判定結果は100%正確というわけではなく、ノロウイルスにかかっていてもウイルスの量が少ない場合などは陰性と判定されることもあります(偽陰性)。
また、すべての方が保険診療でのノロウイルス抗原検査を受けられるわけではなく、重症化リスクのある以下の方が対象であることにも注意しましょう。
3歳未満の患者
65歳以上の患者
悪性腫瘍の診断を受けている患者
臓器移植後の患者
抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、または免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者
III. 🛡️ ノロウイルス感染症の予防「鉄則」を徹底しよう
ノロウイルスは感染力が強い上に、一般的な消毒方法が効きにくいという厄介な特性を持っています。予防の「鉄則」を今一度確認し、徹底しましょう。
1. 最重要:手洗いの徹底
ノロウイルスにはアルコール消毒が効きません 。最も有効な対策は、石けんと流水による物理的な洗い流しです。
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タイミング: 食事の前やトイレの後、調理の前などには必ず手を洗いましょう。
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洗い方: 指先、指の間、手首などを特に丁寧に洗い、2回くり返しウイルスを洗い流すことを推奨します。
2. 食品の取り扱いに注意
ノロウイルス食中毒の多くは、調理従事者が食品を汚染したことが原因となっています。
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加熱: 加熱が必要な食品は、ウイルスの不活化のため、中心部が85〜90℃で90秒以上しっかり加熱して食べましょう。
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調理器具: 調理器具の洗浄・消毒を徹底しましょう。
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生食: 生で食べる野菜や果物などは十分に洗浄しましょう。
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調理従事者: 下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。
3. 汚染物の処理には細心の注意を払う
おう吐物や糞便の処理は、感染拡大を防ぐための最重要ポイントです。
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消毒液の選択: 汚染された場所の消毒には、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)を用います 。アルコール消毒は無効です 。
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手順:
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処理時には、必ず使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用しましょう。
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床等に飛び散った汚染物は、ペーパータオル等で拭き取り、密封して廃棄します。
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拭き取った後、0.02%の塩素系消毒剤を用いて、汚染された場所を消毒します。
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室内でおう吐があった場合は、十分に換気しましょう。
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塩素系消毒剤(0.02%)の作り方
2Lのペットボトルに、市販の塩素系漂白剤(原液濃度約5%)をキャップ2杯分入れ、水を加えて全体を2Lにします。
(※保管時は誤飲防止のため、消毒液と明記し、直射日光を避けて冷暗所で保管しましょう。)


