バレット食道・食道裂孔ヘルニア
バレット食道・食道裂孔ヘルニア
元々、食道は扁平上皮で覆われていますが、胃酸や胆汁が食道に逆流することで食道の扁平上皮が円柱上皮に変化したものをバレット粘膜といい、バレット粘膜がある食道をバレット食道といいます。バレット粘膜の範囲が全周性で3cm以上の食道をLSBE(long segment Barrett’s esophagus)、LSBEの条件を満たさないものをSSBE(short segment Barrett’s esophagus)と分類しています。
日本人では、SSBEで2.0%から59%と報告によって差がありますが、食道がん(腺がん)のリスクと関連が明らかなLSBEは1.0%未満と少ないです。LSBEからの発がん頻度は年率1.2%と推定されています。LSBEと診断されたら毎年の胃カメラを受けるようにしましょう。
胸とお腹を隔てている横隔膜には、食道がぎりぎり通る隙間があります。これを「食道裂孔(れっこう)」といいます。「食道裂孔ヘルニア」とは、胃がこの裂孔から胸へ飛び出してしまった状態です。胃の飛び出し方で滑脱型、傍食道型、混合型の3型に分類されますが、滑脱型が大半を占めます。食道裂孔ヘルニアでは胃液が逆流しやすくなり、食道炎を起こします。