アニサキスに注意!
- 2024年3月24日
- 消化器の病気
アニサキスに注意!
最近、イワシの刺身が原因で胃にアニサキスが喰いついたために、お腹が痛くなった患者さんが何人も来られています。
幸いすぐに胃カメラ検査を行い、胃に喰いついたアニサキスを取り除いて治療することができましたが、それまでの痛みはとても辛いようでした。
実は、かく言う私も先週アニサキスで苦しみました。回転すし店を出た30分後から腹痛を自覚し、「これはアニサキスにやられた・・・」と思い気分が落ち込みました。イワシ、アジの握りが原因と思われます。
すぐに解決したい気持ちでしたが、胃の中に食事が残っている状況ではアニサキス虫体を摘除することは難しいので、翌朝の診療前に摘除を試みることとしました。
診療所のスタッフに介助を受けながら、自分自身で胃カメラを行いました。カメラが胃に入ると、予想通り、胃の壁に喰いつくアニサキス虫体を発見!鉗子(かんし)という器具を自ら操作して見事に取り除くことができました!
他の医師が自身で胃カメラを行った経験は何件か耳にしていたのですが、アニサキス虫体を自分で取り除いたのは私が初めてかもしれません。人生初の貴重な経験となりました。
保健所に報告し、取り除いたアニサキス虫体を提出して一段落となりましたが、しばらくはお寿司、お刺身を食べるのに躊躇しそうです。
余計な話を書いてしまいましたが、皆さまもアニサキスについて学び、適切に予防しましょう!
万が一アニサキス症が疑われる場合には、早めのご相談をお願いいたします。
以下にアニサキス症についてまとめましたので、ご一読ください。
アニサキス症
1.アニサキスとは
魚介類を介してヒトに寄生する寄生虫(線虫、せんちゅう)です。半透明白色で、魚介類に寄生している幼虫のアニサキスは体長2~3cm、幅0.5~1mmの大きさで、少し太い糸のように見えます。
2.アニサキスが寄生している主な魚介類
サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカ等の主に内臓表面に寄生していますが、寄生している魚介類が死亡し時間が経過すると内臓から筋肉(魚やイカの身の部分)に移動することが知られています。
3.人への影響、症状
アニサキス幼虫が寄生している魚介類を刺身などの生の状態で食べたり、加熱が不十分な状態で食べたりすると、アニサキス幼虫が胃や腸の壁に喰いついて、食後2~数10時間後にお腹の上の方が強く痛くなったり、気持ち悪くなって吐いてしまったりします。また、アレルギー症状として皮膚にじんましんが出ることもありますし、放っておくと胃や腸の壁に穴が開いて腹膜炎を起こして緊急手術が必要になったり、腸に喰いついた場合には腸閉塞の原因になったりすることがあります。
4.治療方法
薬での治療はありません。胃に喰いついた場合には、胃カメラを行ってアニサキス自体を取り除くことが治療になります。腸に喰いついた場合には、それを診断すること自体が難しいですし、内視鏡で取り除くことも簡単ではありません。そのため、アニサキスが弱って腸から外れるのを待つことも多いですが、数日から1週間程度かかります。
5.予防方法
① 新鮮な魚介類を選んで、買った後は早めに内臓を外します。その後、目でアニサキス幼虫を探して取り除きます。
※ 注意点:これだけでは100%の予防はできません。
② 刺身など生食する場合には、一度冷凍庫(-20℃)で24時間以上凍らせることでアニサキスを殺すことができます。
※ 注意点:食材の中心部が-20℃になる必要がありますので、冷凍庫の奥の方に入れて24時間+数時間凍らす必要があります。
※ 注意点:お酢や塩、ワサビなどではアニサキスは死にませんので、シメサバをつくる場合にも一度冷凍する必要があります。
③ 煮たり焼いたりする場合には、食材の中心部が60~70℃で1分間以上加熱されることでアニサキスが死にます。
※ 注意点:タラやサケにもアニサキスが寄生します。生煮え、生焼けにならないように、十分に火を通してから食べるようにしましょう。