内科
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内科では、かぜやインフルエンザなど急性感染症の他、いわゆる生活習慣病などの継続的な治療とコントロールを行っています。もちろん、専門的で高度な医療が必要な場合は、専門の医療機関へご紹介し適切な治療を受けていただけるようにいたします。
生活習慣病は予防が一番大切なのですが、健康診断や人間ドックでの異常が生活習慣を見直す大切なきっかけになることもよくあります。健康診断で異常を認めたときには、「まあ、いいか」「また今度」で済まさずに医療機関で診察を受けるようにしましょう。
生活習慣病とは、その名の通り生活習慣が原因で発症する疾患の総称です。不適切な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過剰なストレスなど、好ましくない習慣や環境が積み重なると発症リスクが高まります。がんや脳血管疾患及び心疾患の危険因子となる肥満症、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化症などはいずれも生活習慣病とされています。これらは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳や心臓、血管などにダメージを与えていきます。その結果、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重篤な疾患を引き起こすことがあります。生活習慣病は健康診断などの一般的検査によって早期発見が可能です。検査値に異常があったり、少しでも不安を持たれたりする方はお早めの受診をおすすめします。
日本高血圧学会では、診察室での血圧測定で、上の血圧(収縮期血圧;心臓が縮んだときの血圧)が140mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧;心臓が広がったときの血圧)が90mmHg以上を高血圧としています。ご自宅での血圧測定では、上の血圧が135mmHg以上、または下の血圧が85mmHg以上を高血圧としています。脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などによる死亡(脳心血管病死亡)の約50%が、血圧が高いこと(上の血圧が120mmHg以上、または下の血圧が80mmHg以上)に起因すると推定されています。また、高血圧に起因する脳心血管病死亡者数は年間約10万人と推定されています。脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などによる死亡を減らすことが高血圧治療の最終目標です。症状が無いからと言って治療しないでいると、脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞、腎不全などの重大な病気を発症する危険性が高まり、将来的に合併症で苦しむことになりかねません。日本人の高血圧の約8~9割が本態性高血圧(原因をひとつに定めることのできない高血圧)で、遺伝的素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満など様々な要因が組み合わさって発症します。中年以降にみられ、食生活を中心とした生活習慣の改善が予防・治療に非常に大切です。
脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態をいいます。脂質には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)があり、これらをまとめて測定したのが総コレステロールです。LDLコレステロールが140mg/dL以上を高LDLコレステロール血症、HDLコレステロールが40mg/dL未満を低HDLコレステロール血症、トリグリセライド(空腹時)が150mg/dL以上を高トリグリセライド血症、総コレステロールからHDLコレステロールを除いたNon-HDLコレステロールが170mg/dL以上を高Non-HDLコレステロール血症といいます。LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の高値の原因には、飽和脂肪酸の摂りすぎがあります。飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉・ひき肉・鶏肉の皮も含む)・バターやラード・生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂・インスタントラーメンなどの加工食品にも含まれています。トリグリセライド(中性脂肪)の高値の原因には、カロリーの摂りすぎ、特に甘いもの・お酒・油もの・糖質のとりすぎがあります。HDLコレステロールの低値の原因は肥満や喫煙、運動不足です。
脂質異常症は動脈硬化の主要な危険因子で、脂質異常症治療の最終目標は脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などによる死亡を減らすことです。症状が無いからと言って治療しないでいると、脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞、腎不全などの重大な病気を発症する危険性が高まり、将来的に合併症で苦しむことになりかねません。食生活を中心とした生活習慣の改善が予防・治療に非常に大切です。
糖尿病とは膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、十分に働かないために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。1型糖尿病・2型糖尿病・妊娠糖尿病、その他特定の機序・疾患によるものの4つのタイプに分類されていますが、多くは2型であり、日本ではその疑いがある人(可能性を否定できない人を含む)は成人の6人に1人で、約1870万人にのぼっています。空腹時血糖が126mg/dLを超えることが2回あると糖尿病と診断されます(別の診断基準もあります)が、空腹時血糖が100mg/dlを超えると糖尿病の発症リスクが2倍以上になることが分かっており、この時点で対策することが大切です。また、空腹時血糖が110mg/dlを超えると食後高血糖(空腹時血糖が正常ないし境界域なのに、食後に血糖値が健康な方よりも高くなってしまう状態)が推定され、動脈硬化のハイリスクです。糖尿病が進行すると、微小な血管の障害である網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して心臓病や脳梗塞、脳出血のリスクも高まります。糖尿病の発症にはインスリンの分泌不足といった要因に加え、食べすぎ、運動不足、肥満(太りすぎ)、ストレスといった生活習慣が関係しているといわれています。糖尿病を予防するため(一次予防)、糖尿病発症後に血糖をコントロールするため(二次予防)、あるいは合併症の発症を防ぐために(三次予防)、生活習慣を見直すことが大切です。
血清尿酸値は尿酸の産生量と腎臓や腸管からの尿酸の排泄能のバランスで決まり、産生が過剰になったり、排泄能が低下したりすると高尿酸血症となります。尿酸はプリン体の代謝・分解によってつくられ、尿酸の原料のプリン体は食事や、身体の中の合成、細胞の崩壊によってできます。そして、尿酸の約2/3は腎臓から、残りのほとんどは腸管から体の外に出ます。高尿酸血症の頻度は男性の20%、女性の5%と報告されていますが、高尿酸血症には高血圧、脂質異常症、糖尿病などが合併していることも多く、動脈硬化のリスクになります。尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断され、9mg/dl以上もしくは8mg/dl以上で合併症(腎障害・高血圧・糖尿病・肥満など)を伴うものについては薬物療法を含む早期の治療がすすめられます。高尿酸血症を放置すると尿酸塩の結晶が体内にたまり、激痛を伴う痛風発作や尿路結石症・慢性間質性腎炎による腎不全などを引き起こすことがあります。尿酸値は6mg/dl以下にコントロールすることが望ましいとされます。食事に関してはアルコールの摂取制限のほか、肥満の方の場合には摂取カロリーを適切な量にすることが大切です。